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世界の事例

ミレニアル世代の新ノマドスタイル。LA発のコ・リビングスペース「Podshare」

「私は自分自身の寂しさを癒やすためにポッドシェアを始めたの。今では友たちと一緒じゃない夜を過ごすことはなくなったわ」

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アメリカで2000年代初頭に成年期を迎えた世代「ミレニアルズ」。彼らは初のデジタルネイティブ世代であり、金融危機や格差拡大といったさまざまな経済環境の変化やネットの情報の渦の中で育ったせいか、これまでの世代とは消費傾向や経済感覚、社会的価値観などが全く違うと言われています。

彼らはかつての世代に比べてモノを所有することにあまり興味がなく、また生まれた頃からSNSを使いこなす環境にあったため、情報リテラシーが高く周囲の友人との共感を大切にする傾向があります。

そんなアメリカのミレニアルズの間で注目されているのが、この「Podshare(ポッドシェア)」。ポッドシェアはHollywoodやDTLA、Los Feliz、Veniceなどロサンジェルスを中心とした付近に点在し、一泊あたりの金額も50〜60ドルとリーズナブル。昼間は15ドルほどとより安い価格で、コワーキングスペースのように利用することもできるんです。

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ポッドシェアの創業者であるElvina Beck(エルヴィナ・ベック)は、27歳のときに父親と一緒に1店舗目をDIYで作り上げました。

彼女が住んでいるロスには、都会で夢を実現するためにさまざまな世代や人種が集まってきます。そんなロスではマンションやホテルだけでなく、Airbnbすらも価格があがっていく一方。そんな状況を打破すべく、彼女はユースホステルやAirbnb、カプセルホテルなどのいいとこ取りをした「Podshare(ポッドシェア)」をスタートしました。

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まるでドミトリーのように区切られたベッドスペースには、タオルやコンセント、Netflixも見ることができるTVまで完備。はっきりいって広くはないし、プライバシーが守られるようカーテンや目隠しもなく、シャワールーム以外は周囲から丸見えの状態。これがポッドシェアの特徴でもあります。

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ところが一人旅や周囲との交流が好きなミレニアル世代にとっては、プライバシーがないというデメリットも転じてメリットになります。そんなポッドシェアは、LAを訪れる若い一人旅の観光客やLAでマンションを探している人、期間限定の労働者などにも大人気なのだとか。なんとポッドシェアで初めて出会った男女が、その後結婚したなんていうエピソードもあるのだそうです。

この「ポッドシェア」のルールは、各ポッド外のスペースや物品は会員の皆でシェアするということ。バスルームや自転車、コピー機やバスケットコートなど、全ての設備をシェアするポッドシェアのスタイルは、シェアエコノミーのあり方を先取りしているかのようです。

「私たちはリアルな場所付きのソーシャルネットワークをつくってるのよ」と代表のエルヴィナ・ベックは言います。その証拠に彼らが「Podestrian(ポデストリアン)」と呼ぶポッドシェアの利用者のプロフィールをPodshareのWebサイト上で見ることができます。

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「私は自分自身の寂しさを癒やすためにポッドシェアを始めたの。今では友たちと一緒じゃない夜を過ごすことはなくなったわ」とベック。それもそのはず。今、彼女は常に入れ替わる23人のルームメイトがいるポッドシェアで暮らしていのだとか。しかも、驚くことにポッドシェアは92%の稼働率と19%の利益率があり、4年間トータルで4000人の会員がいるのだそうです。

ベックはこうも言います。「あなたがポッドシェアにチェックインしたとたん、あなたの居場所=ポッドが手に入る。そしてそこにあるたくさんのものをシェアできる環境がそこにあるのよ」

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彼女はポッドシェアはいつもオープンであることを大切にし、人が集まるメジャーな都市部エリアの側に拠点を増やすことにしていると言います。「都市部での手頃な宿泊価格とフレキシブルな利用可能な時間、多拠点、コ・リビングスペースという要素。そこにこそマーケットがある」と彼女は語ります。

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今、日本は2020年の東京オリンピックイヤーに向けて、日本を訪れる外国人旅行者は右肩上がり。それに伴ってホテルや旅館の宿泊料金がじわじわと値上がりしており、都内のホテルの予約も取りにくくなっている状況です。また日本においてもゆとり世代やさとり世代と呼ばれる、新しい消費傾向をもった若者が社会の中心になりつつあります。

そして2018年には日本でもついに民泊が解禁される予定です。日本でもポッドシェアのようなスタイルを取り入れた宿泊施設が増えていくことが、宿泊施設不足という大きな課題を解決し、日本全体の消費を活性化するカギとなるのかもしれません。

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